令和六年の新春にあたり






明けましておめでとうございます。
会員の皆様には輝かしい新年を迎えられていることとお慶び申し上げます。

◆諸行事を、会員皆さんのご理解とご協力により、計画した行事のすべてを盛会・成功裡に実施

4年間に亘って活動の自粛を強いられたコロナ禍も一定の対応方法が定着し、昨年からは発表会等もコロナ前とはいかないまでも、大きな会場での人数制限無しの開催が可能となりました。

宮城岳風会の諸行事も、会員皆さんのご理解とご協力により、計画した行事のすべてを会員の減少・高齢化の進行の中、盛会・成功裡に実施することができました。

昨年は、従来の行事に加え、高段・伝位者が会員の半数を超えるという会の現状を踏まえ、新たに、「高段伝位吟詠大会」を企画し盛会裡に開催することができました。

これからも皆さんと会の活力を維持していくための会の実態を踏まえた新たな取り組みを考えてまいりましょう。

本年は、令和五年の活動実績を土台に諸行事に取り組むと共に、令和7年の創立55周年記念吟道大会に向けた準備開始の年と致しましょう。改めて会員皆さんの更なるご理解とご協力をお願い致します。

◆令和6年の宮城岳風会の活動目標

令和6年1月号「吟道」の団体長の抱負に、私は、
「コロナ禍を克服し、教場・地域活動の充実を通じて吟詠の普及を図り退潮に歯止めをかける。」
と投稿しました。

このスローガンの下、令和6年の宮城岳風会の活動目標は、総会での皆さんの同意を得て会の現状を踏まえた次のような項目にしたいと考えております。

 1 各自が健康管理に努め、吟詠活動を通じて会の活力を維持する。
 2 教場活動の充実、地域活動への参加を通じて吟詠の普及を図る。
 3 各種研修・大会への参加を通じ吟技の向上に努めると共に、各種伝統芸能との交流を図り相互の活性化に務める

宮城岳風会は、一昨年の第132回全国吟道大会の開催をはじめ充実した活動を続けて参りましたが、会員の減少・高齢化の進行は年々深刻となっています。70歳未満の会員は50人を切り会員の平均年齢は78歳となりました。

60歳代等の若い会員の入会はほとんどなく、会の継続が見通せない状況となっております。運営に当たっても、本人・ご家族の健康状態から運営へのご協力をいただくことが難しくなってきており、一部の会員の方に業務が集中する事態となっております。このため、苦手な方も多いなか恐縮でしたが、業務の一部電子化にも踏み切らせて頂きました。
ご理解・ご協力をお願い致します。

大きく社会状況、意識が変化している中、この苦境を打開する起死回生の策は見つかりません。活動目標に掲げましたように、皆さんが吟詠を楽しみ、仲間を励まし、多くの地域文化活動に参加し吟詠を知っていただく機会を作り、更に、吟詠同様、苦境にある伝統芸能の皆さんとの相互交流を図っていく以外当面の対策はありません。
一つ歳をとったではなく、新たな年を迎え生まれ変わった(回生)気持ちで、令和六年の吟詠活動に取り組んで下さい。

◆吟詠の身近な効用と私の座右の銘

終わりに、吟詠の身近な効用と私の座右の銘を記させていただきます。

ある識者の話に、
適度なプレッシャーやストレスがなくなると一気にボケがくる
という下りがありました。

私達詩吟の仲間は、毎年、昇段審査や大会発表等があり、常に詩文を覚え、吟調に意を用い、大きな声を出しています。
常に適度なプレッシャーやストレスの中にあると共に、感情を発散させています。従って、ボケる暇はありません。これに勝る脳トレ、健康法はないのではないでしょうか?

古代中国の聖人の一人に殷王朝を創設した湯(とう)王(おう)がおります。
湯王は毎朝使用している洗面器に次のような銘を刻していたそうです。

苟(まこと)日に新たにして 日々に新たにして 又日に新たなり(日新 日々新 又日新)」

名君の誉れ高い湯王ですら、「今日の行いは、自分の顔や身体の汚れを洗い去るように、昨日よりも新しく良くなり、明日の行いは、今日よりもさらに良くなるように、常に心の垢を洗い清めて自分を日々新たにしていきたい。」と、 
毎朝、洗面器に刻んだこの言葉を読み自戒したといいます。

また、「正法眼蔵随聞記」(水野弥穂子著〔仏教学者〕)に次のような言葉があります。

玉は琢磨によりて器となる 人は錬磨によりて仁となる
   何れの玉か初めより光ある 必ず磨くべし すべからく錬るべし
 自ら卑下して学道を怠ることなかれと。

「道標」 上手も下手の手本 下手も上手の手本

                                              宮城岳風会会報 第111号より