「宮城岳風会会歌」文意の紹介
一、地を捲く吟風修禊の天
〔文意〕
地を捲いて起る吟の風は、天をも洗いすすぐかのように清らかにわたっている。
ハテ、この地は何れのところであろうか?
ここは萩の花が咲き乱れて、露重く君を待つ風情の宮城野である。
中国の歴史に伝えられる蘭亭の会は、日本詩吟学院岳風会認可宮城岳風会に受けつがれた。
昔、宮城野には睦奥の鎮守府が置かれていたが、歴代の鎮守・将軍は、自らもそうであったように
高い気品とみやびやかさを具えた賢人たちを集めた由緒の深い土地柄である。
宮城岳風会の誕生誠に宜なるかなである。
〔備考〕
古歌に日く、「もとあらの みやぎのこはぎ つゆおもみ かぜをまつごと きみをこそまて」
蘭亭の会 蘭亭は中国浙江紹興県の西南に在り、晋の穆帝の永和九年、春、三月三日
当時の名士四十一人が蘭亭に集まり、曲水に觴(さかづき)を流して禊事を修めて、皆詩を賦した
と伝えられる会
二、宮城の原野精華粋まる
人傑れて地霊れて正気高し
二世の節全道統を傳ふ
古今の大義英豪を尊ぶ
〔文意〕
宮城原には山の精、川の精、雪の華、花の華、この世のすぐれたよいものが、すべて集まっている。
人はすぐれ、地はすぐれて、正気が高く、張り満ちている。
六百五拾年の昔、北畠親房、顕家父子は二代にわたる節義を完うして、人間として世の中に
践み行なうべき道筋を明らかに後世に傳えられた。
したがって、天地古今を貫く大義は今日もなお存して英雄豪傑を尊ぶ気風が流れている。
三、詩韻吟神正氣を傳ふ
詩聾漂渺蒼天に塞がる
風雅逍遥世を遺れたるに似たり
悠悠自ら楽しみ先賢を追う
〔文意〕
詩のひびき、吟のこころは正気を伝えている。吟聾は、ひろびろとひびき渡って、青い空に
ふさがるかのようである。
品格のある詩吟を愛して逍遥すると天地の心に和して我なく、誠に世を忘れたる如くである。
心はゆったり、のびのびとして自ら、昔の賢人の教えを学ぶことが楽しまれる。
四、旗幟鮮明吟道を弘む
詩仙吟詠研を競いて同る
千錘百錬歌朝暮
好漢方に能く正風を傳へよ
〔文意〕
宮城岳風会の旗印は、きわめて明らかである。それは吟道を弘めることを目的としている。
したがって詩の巧みなもの、吟の上手なものが雲霞の如く、雨後の筍の如く研を競っている。
さて、朝に千鍛、夕に百錬、吟聾は四六時中絶ゆることがないが、宮城岳風会の皆様がたに、
どうぞ吟道の真髄を伝えて慾しいものだ。反省し、われらは誓って、正風を伝えよう。